パーティ構築/役割理論 - ポケモン対戦考察まとめWiki|第五世代(ブラック・ホワイト&ブラック2・ホワイト2)

役割理論 [編集]

各ポケモンに「役割」(仮想的な『立ち回り』)を持たせることでパーティを構築するための理論。

似たような言葉に『役割論理』というものがあるが、これは役割理論とは異なる考え方。
詳細はネタポケまとめWiki参照。

ポケモンバトルの歴史 [編集]

役割理論は第2世代で登場し、第3~第4世代で衰退、第5世代では再び受けポケモンが活躍できる環境が整った。
詳細はネタポケまとめWiki参照。

第1世代(赤、緑、青、ピカチュウ) [編集]

・旧個体値&努力値システム(個体値MAX15、全能力に最大限の努力値を振ることができる)
・「とくしゅ」という能力(現在の「とくこう」&「とくぼう」が1つの能力として設定されている)
・エスパータイプ、氷タイプの隆盛(フーディン、スターミー、ラプラス、ルージュラなど)
・その他速攻型ポケモンの台頭(ケンタロス、サンダース、ダグトリオなど)
・一部の技等の凶悪性能(破壊光線、急所技、一撃必殺技、吹雪、サイコキネシス、氷状態など)

第2世代(金、銀、クリスタル) [編集]

・「とくしゅ」が「とくこう」と「とくぼう」に分離(種族値の調整)
・「もちもの」の登場
・タイプ相性のバランス調整(悪、鋼タイプの登場、毒⇒虫、虫⇒毒が効果今一つ、霊⇒超が効果抜群に)
・一部の技等のバランス調整(技の仕様変更)
・強力な受けポケモンの台頭(役割理論が誕生)

第3世代(ルビー、サファイア、ファイアレッド、リーフグリーン、エメラルド) [編集]

・現在と同じ努力値システムが誕生
・「こだわりハチマキ」の登場
・「とくせい」と「せいかく」の登場
・技教えマニアの登場(レベル1で覚える技や進化系の進化時レベル未満のレベル限定の技が携帯機のみで活用可能に)
・教え技の登場(第3世代移行時に廃止された技マシンの一部復活)

第4世代(ダイヤモンド、パール、プラチナ、ハートゴールド、ソウルシルバー) [編集]

・技の「ぶつり」と「とくしゅ」の再設定(タイプ依存から個々に設定されるように)
・「もちもの」の大幅拡充(きあいのタスキ、こだわりスカーフ、こだわりメガネ、半減実など)
・天候パーティの台頭(砂嵐パーティ、霰パーティ)
・高威力技、先制技の増加(役割理論の衰退)

第5世代(ブラック、ホワイト、ブラック2、ホワイト2) [編集]

・夢特性の登場(雨、晴れパーティの強化、個々のポケモンの強化など)
・「しんかのきせき」の登場(再生による受けが可能に)
・その他「もちもの」の拡充(各種ジュエル、ふうせん、ゴツゴツメットなど)
・積み技、連続技の強化

交代戦(サイクル戦) [編集]

役割理論の前提となる概念。
相手の場のポケモンに有利なポケモンを交代で繰り出し、ダメージを受け、相手もこちらの場のポケモンに有利なポケモンを交代で出してダメージを受ける。という対戦の流れのこと。
A→B→C→A→B→C...といったサイクルを繰り返すことからサイクル戦とも言う。

例.こちら先発ギャラドス、控えバンギラス。相手先発サンダー、控えローブシン。(簡略化のため2体)
技はギャラドス(アクアテール/龍の舞)、バンギラス(ストーンエッジ)、サンダー(10万ボルト)、ローブシン(ドレインパンチ/マッハパンチ)。(こちらも簡略化)
素早さはサンダー>ギャラドス>バンギラス>ローブシンとする。

1ターン.この状態でギャラドスが攻撃を選択した場合、サンダーに先攻で電気技を打たれ、何も出来ずにギャラドスが倒れてしまうことは目に見えている。
無傷でギャラドスを倒されるよりはバンギラスにダメージが入るほうがいい。バンギラスなら10万ボルトぐらいではたいしたダメージにならない。よってこちらは交代する。
ここで相手は10万ボルトを撃ってきたと想定。
2ターン.ここで相手はサンダーではバンギラスに対して有効打がないのでローブシンに交代。こちらはストーンエッジを打つ。
3ターン.バンギラスはローブシンに有効打がないのでギャラドスに交代。相手ドレインパンチ。
4ターン.ローブシンはギャラドスに勝てないため、ここで相手はサンダーに交代するしかないだろう。
竜の舞を1回積んでもサンダーを突破できないのでダメージを稼ぐためにアクアテール。相手サンダーに交代。
5ターン以降.1ターン目に近い状況になり、これ以降は上記に近い展開を繰り返すことになります。

実際はこのように綺麗にはいきませんが、こんな感じの試合運びの事です。

ダメージレース [編集]

相手により多くのダメージを与え、こちらのダメージをより少なくすることを競う戦い。
交代戦が行われ、先に相手の交代先にダメージを蓄積させ、受けられなく(流せなく)させることが勝利につながる状態の場合に行われます。

上の交代戦の例をそのまま使うと
こちらは
1.サンダーを倒したときにギャラドスにマッハパンチを受けられる十分な体力が残っていれば勝ち。
2.ローブシンを倒したときにバンギラスに十分な体力が残っていれば勝ち。
相手も
1.バンギラスを倒したときにサンダーが残っていれば勝ち。
2.ギャラドスを倒したときにローブシンが残っていれば勝ち。
という勝ち筋があります。

お互い1体でも欠ければ負けにつながりますので、交代で受けられなくさせる(サイクルを回せなくする)ことが重要になります。
そのため、受けに来る相手に負担が掛けられる高威力の技が好まれます。

しかし、現在は強力な先制技や積み技がありますので相手のサイクルを崩したところで勝てるとは限らない点には注意が必要です。

用語集 [編集]

役割理論の用語は、「受け」、「潰し」、「流し」の三つを基本とします。
派生として主に「封じ」、「誤魔化し」、「役割破壊」、「釘付け」等があります。

現在では陳腐化してるものが多いため注意が必要です。

○○には基本的にポケモンやタイプ、技等の名前が入ります。

「○○受け」 [編集]

回復技を持つポケモンが、相手が使う最もダメージの大きい攻撃に対して
・回復技が眠るの場合:確定4発以上(4発目以降で落ちる・一撃のダメージが最大HPの33%以下)
・回復技が自己再生(+その他)の場合:確定3発以上(3発目以降で落ちる・一撃のダメージが最大HPの49%以下)の場合を受けと言います。

よく物理受けという言葉を聞きますが、物理受けのできるポケモンは現在ほぼ存在しないといって良いと思います。
カビゴンの特殊ほどの耐久がないと数値で受けることは出来ませんが、それほどの物理耐久を持ったポケモンは今現在存在しません。
従って物理はタイプ相性で受けるしかなく、相性の有利な相手しか受けられないからです。(ドラゴンが強いのはそのため)

「○○潰し」 [編集]

現在のダブルバトル用語である「潰し」とは多少用法が異なり、
「同時出しから、○○が自分を倒すより先に○○を倒す事ができるポケモン」を示します。

潰せる範囲が広いポケモンは初手で出しやすく、更に素早さが高い場合最後っ屁が可能なためとても強力です。
ただ、タイマン前提の潰しが多いため、厳密には後出しの可否を示す「役割」には
「○○潰し」は当てはまりません。後出しできる潰しは下記の「○○流し」と定義できるので、
寧ろ「○○潰し」という役割は無いとも言えます。

「○○流し」 [編集]

「○○に対して交換で出しても、HPにかなりの余裕を残して○○を倒せる」という役割です。
この場合、相手が初心者で無い限り交代するので決定力を遅らせることが可能です。
しかし、交代際にダメージを受けてしまう可能性が高いので結局はどちらかが決定力を発揮しますが。

「○○受け」も相手が交代してくる可能性が否定できないので、「○○受け」も「○○流し」
であるという考えもありです。

「後出しで出ながら相手を引っ込めさせる」という、
「流れ作業」のイメージからこの名前が付いたかどうかは定かではありません。

なお、もっとも間接破壊されやすい役割です。
役割の性質上、「多少のダメージ差は跳ね返せる」と思って
能天気に相性普通の相手に出してしまう事が多いからとかだそうです。

「○○封じ」 [編集]

1.○○に対して潰し+受け(流し)が成立する場合。
2.○○に対して交換の不可能な「潰し」が成立する場合。

1.が本来の用法です。こちらの意味では交換されてもかまいません。DP時点でほぼ絶滅しました。

2.は「くろいまなざし」の他、「かげふみ」「ありじごく」「じりょく」によっても成立します。
また、「おいうち」によって交換を躊躇させるのも封じの一種です。

誤魔化し [編集]

リフレクター・光の壁、あまえるなどによる局所的な耐久力アップ、
もしくはマヒ・こんらん・メロメロのいずれかの状態異常で相手の動きを止めることで
一時的に「受け」を成立させる場合です。

誤魔化しポケはHP回復技は持たない場合がほとんどで、
近年の「受け」は役割理論で言えばこちらの意味と、「流し」の意味が強くなってきています。

状態異常での誤魔化しは、運に左右されるとはいえ一手得をすることになるので
通常の受けよりも高い効果を発揮する場合があります。
光の壁等では、一時的に耐久が倍加するため「流し」効果を得られる場合もあります。

一方で「ここでマヒが発動しないと負ける」「急所に当たると負ける」という状況下でも
天に任せることしか出来なかったりすることがあるのが誤魔化しです。

役割破壊 [編集]

たとえば、種族値的に見て威力の不足気味な攻撃技を持たせる事で、
そこに対応していない「受け」ポケモンの役割を無効化する場合等を「役割破壊」と言います。
「役割破壊」以外の効果が期待できる技は「サブウェポン」と呼ばれるので注意しましょう。

役割破壊には以下のような種類があります。

1.「物理受け」に特殊技、「特殊受け」に物理技を使う
例えば、ボーマンダでは物理形の場合エアームド、特殊型の場合ハピナスを突破できませんが、前者ではだいもんじ、後者ではげきりんやかわらわり、ドラゴンダイブを添えることでこれらを突破できるようになり受けを成立させることができなくなります。

2.苦手タイプに対して弱点をつく技をもたせる
例えば、通常電気タイプのポケモンは地面タイプのポケモンに対抗する手段を持ちませんが、氷や草技などを持たせることでこれらの優劣を逆転できるようになります。
サンダースにめざめるパワー氷を持たせることが多いのはこのためで、ガブリアスやグライオンなどを突破できるようになります。
また、1におけるボーマンダの対エアームドでは、1と2を同時に行っています。

3.もちものを利用する
いのちのたまやこだわりハチマキなどの火力アップアイテムを持たせることで、受けを成り立たせないようすることができます。
また、カムラのみなどですばやさを補ったり、状態異常に対する「ラムのみ」などもこれに当たります。

4.積み技を持たない「受け」に積み技を用いる
つるぎのまいやりゅうのまいなどで決定力を上げ、受けを突破します。

5.一撃必殺技
最強の役割破壊技。
とくせい「がんじょう」以外、当たれば問答無用で役割を破壊できます。

またトリッキーなところで、ダークホールに対する「スカーフしんぴのまもり」、そしてそれに対する「きりばらい」とかもここです。

ある意味役割理論の華です。一般の構成、役割を無視して特定のポケモン、
受けに出てくるであろうポケモンの返り討ちに特化する役割を持つのが主な特徴でしょうか。
これをやられると「守りの役割理論」が完全に破綻します。

間接役割破壊 [編集]

本来はお互いに「役割」を持たないもの同士のダメージの蓄積(倒される場合も含め)によって
現在戦闘中でないポケモンに対する「役割」を無効化する事を「間接役割破壊」といいます。

「受け」ポケモンは基本的にダメージを回復する手段を持っているので、
「潰し」「封じ」「誤魔化し」が破壊されるときに用いられます。

これをやられると「攻めの役割理論」が破綻します。
防御面の破綻よりも致命的な場合も多々あるので、
泥沼の状態に陥るのは避けたいところです。

釘付け [編集]

タイマンで有利な3体を選出することで相手のポケモンを繰り出せなくさせること。鈍足に有効。

例えこちらにドサイドンを受けられるポケモンが一体もいなくてもドサイドンを場に出せなければ問題が無い。

相手にキノガッサがいる時、素早さが高いポケモンを選出するのと似ている。

起点 [編集]

流星群の特攻ダウン、逆鱗の操作不可、攻撃が半減で受けられる等の隙を突いたりすることを
自分側が相手に行う場合は「起点にする」、相手側が自分に行う場合を「起点にされる」といいます。
またやどりぎのタネやステルスロック等のダメージ、おきみやげ等の能力ダウン技、でんじは等の状態異常技等によって
隙を作ったりすることを、自分側が相手に行う場合は「起点を作る」、相手側が自分に行う場合を「起点を作られる」といいます。

相手に隙が出来た時、大体は積み技を使って一気に火力を上げて起点にし、後は全抜きを狙うのが普通です。

起点にしたときはとても有利ですが、起点にされたときは非常に不利です。
試合の中で大きく有利不利が動く場面でもあります。

これは本来の役割理論からは大きく外れたものですが、起点作りも立派な役割であるという点が注目すべきところです。
どちらかというと「間接役割破壊」に意味が近いです。

役割理論を採用した場合の立ち回り [編集]

役割理論をガチガチに採用した場合、「受け」だけが急所と積み技を除き
「X発耐える」と計算されているため、戦闘中の計算ミスさえなければ
相手の「(特に種族の指定のない)敵を倒す」役割を無効化することができます。

そして受けをメインとした立ち回りは、一部のポケモンの「こだわり○○」「○○ジュエル」を合わせた想定外の高火力、
運の要素が強いところでは急所などで役割破壊・間接破壊されがちです。

この辺で「役割理論はもう古い」と言われますが、
それは「受け」の役割を持たせるポケモンが減ったというだけの話で
一応「潰し」「流し」「誤魔化し」に関してはまだ現役です。

そして、「潰し」「流し」「誤魔化し」、いわゆる『攻めの役割理論』の立ち回りですが、
実はこれ、みんなあまり意識せずにやってます。

役割理論を採用したパーティでの「立ち回り」としては、
対戦中に一度は「こいつは○○受けですよ」「こいつは△△潰しですよ」
というような「役割見せ」を行う必要がありますが、
二度目以降は「○○受けがいるから(○○受けが来るのを読んで)、○○を交換して××にしよう」という事を避けるために
「○○に対して○○受けを出さない」「△△潰しが△△を潰す技を出さず、××のための技を出す」という選択肢を取る場合があります。

具体例としてはこちら:ボーマンダ&メタグロス、相手:マニューラ&ゴウカザルとか。
お互いの「潰し」と「流し」の関係のせいで、交換合戦もしくはサブ技の打ち合いになった事があるはずで、
こういう展開は「役割理論って何?」という人でもやってるはずですし、
結構失敗するけど、結構成功するのも知ってるはずです。

役割理論の歴史と疑問点 [編集]

役割理論は初期の金銀対戦文化において重要視されたものです。
今日の対戦環境とでは取り巻く状況が大きく変わっていたり、「理論」と名づけなくとも今日の対戦環境では自動的にある程度意識できる部分があるので、
理論の有用性は落ちてきています。
現在、役割理論での意味的な運用で主流となっているのは、「潰し」「流し」「誤魔化し」の『攻めの役割理論』であり、
これは先ほど言ったように、金銀対戦初期的な立ち回り思考ではありません。
「受け」の『守りの役割理論』は、金銀対戦初期的な立ち回り思考に近いですが、第4世代(DP)においてのパワーインフレで大きく衰退しました。
(ちなみに第3世代(RS)では、努力値システムの変更で大きく耐久が下がったこと等によって金銀対戦環境よりは衰退しましたが、
それでも現在よりはかなり重視されていたと言っても良いと思います。)
その後、第5世代(BW)での「しんかのきせき」の登場や新ポケモンの種族値インフレ等によって多少復活したものの、
いわゆる『トップメタ』と呼ばれるような環境での主軸の戦法ではなく、数ある内の一戦術でしかなくなってしまったのが、
「役割理論を把握しなければ勝てない」という『金銀対戦初期のある意味「神話」から大きく外れてしまった』ということなのです。

また「潰し」「流し」「誤魔化し」は金銀対戦時代にあまり重視されていない戦い方でした。
それはまさに「受け」きる事が基本であり6匹中「ほえる」「ふきとばし」持ちが必ず一体はいる事、「眠る」「寝言」がかなりの確率で入っていた事、
そういった状況下で「受け」が重要視されており、役割理論の根底であったからです。

しかし、上述したように状況の変化により「潰し」「流し」「誤魔化し」といった定義が増えポケモン自体の役割が広範囲化した事と
相手の役割を根本から覆す戦法、アイテム、積み技等によるゴリ押し、起点を作って超火力で叩く戦法等が増えた為、
役割理論を知っていれば勝てるという状況下でも、勝率があがるわけでもなくなってしまったのです。
逆にある程度固執して構成を捉えてしまうと自由な発想を奪ってしまうかもしれません。

最後に [編集]

役割理論は「ポケモンに対してパーティでの役割を与える」「パーティに必要な役割に適合するポケモンを探して採用する」
という抽象的な部分が一番重要です。この部分だけはどの時代でも通用するものなので、
「受け」等が成立しにくくなった現在でも未だに意識されているのです。
「受け」等の用語は円滑に説明や議論を進めるために、ポケモンが持てる役割をデフォルメして命名されたものを用いられているだけで、
ポケモンが持てる「役割」は、「受け」「潰し」「流し」等だけではありません。

ですから、このページで挙げられた役割のいずれも出来ないように見えるポケモンにも、「役割」は存在します。
もしかすると、「具体的な技名や特性名、タイプ、能力値」をもって「役割」としているかもしれません。